小山の図書館に本を返しに行く。
そのついでに、ついついバッティングセンターに寄ってしまった。
これは、習慣ともいっていい行動なのだ。
かつて映画館で働いていたとき、とある先輩と外回りをしたものだった。
彼は、仕事に関してガチガチで“遊び”のない人だった。
にもかかわらず、バッティングセンターにポスターを張りに行った日には、
「いっちょ打っていこうか」
と誘うのだ。
それが意外で、すごく楽しくて、刷り込まれてしまった。
ということで、ついついバッティングセンターに寄る。
いまは経営者が変わってしまったが、かつてはクリモトさんが経営するクリモトバッティングセンターという名前だった。
ぼうっとしたおっさんが社長で、子供に500円ネコババされてもニコニコ笑っていて気づかないようなおっさんだった。
機械もいいかげんで、アームが触れているのにボールをこぼして飛んでこないなんてことはよくあった。
あるとき、ほとんど球が飛んでこないまま、規定の200円分が終わってしまったことがあった。
「あの、ほとんど飛んでこなかったんですけど」
そう申告すると、
「ちょっと待ってて」とタダで打たせてくれた。
しかし、おっさんはマシンを動かしたまま、どこかへ行ってしまった。
延々と飛んでくるボール。
なぜか、特打ちに……。
さて、時が経ち、経営者のかわったバッティングセンターで、ぼくはワンプレイだけ試してみた。
久々なのに、やけにボールの芯を捉える。
あわやホームラン賞性の当たりが続き、となりの小学生が尊敬の眼差しでぼくを見ている。
となると、もういっちょ打ちたくなる。
200円を入れると、専用のコインを一枚出してくれる発売機に行き、もうワンプレイ分のコインを買おうと思ったが、あいにく千円札しかなかった。
しかたなしに、その隣の両替機に千円札を入れた。
と、思ったら、それは2,000円入れると12回打てるカードの発券機だったのだ。
「発売中止」のボタンを押す。が、うんともすんともいわない。
係員を探すが、なぜか見当たらない。
いたしかたなく、ぼくはもう千円を入れて、カードを買った。
めったに栃木に帰ってこない生活をしているというのに……。
カードを使い、再びバッターボックスに立つ。
久々の、特打ちでしたよ。

最近のコメント